
「サマーゴースト」
「ONE IS ALL」の理念を体現した、360度型の創作集団
――ここまで聞いているだけでも独自の組織体制だと思いますが、大手アニメスタジオと比較した際、アニメ業界とは全く異なる文脈から立ち上がったインディペンデントなFLAT STUDIOは、どのような点が強みだと感じますか?
石井龍:当時の自分たちは業界未経験で信用不足もあり、僕らの仕事を引き受けてくださる他社さんがほとんどおらず、既存の体制に縛られずに作るしかありませんでした。なので、「アニメーションの作り方を作る」ということから、結果的に始められている点でしょうか。
具体的な特徴を挙げるとしたら、その一つは、同じセクション間、もしくは異なるセクションを跨いだ、双方向的なコミュニケーションを社内で徹底していることだと考えています。例えば作画部は、社内のデータドライブに作業中のカットをすべてアップロードしています。それをタイムライン上に並べることで、カットの状況がリアルタイムにすべて可視化されるので、自分の担当カットだけでなく、前後の動きを見た状態でアニメーションを描ける上、他のセクションもカット内容を確認できます。もし質問点があれば直接担当者に相談もできる。
また、デジタル部(撮影&3DCG)や美術部も社内にあるため、カットがある程度まとまると、ひと繋ぎになったデモ映像を作り、スタッフ全員で確認する機会を多く設けられる。作成途中であっても、大まかな全体像をチームで共有できるので、トライアンドエラーを重ねやすいんです。
――短い開発サイクルを繰り返してリリースを重ねていくという点で、ソフトウェア開発における「アジャイル」に近い発想ですね。
石井龍:確かにそうですね。マネジメントについても、セクションや肩書きに縛られないコミュニケーションを徹底しています。作画部、美術部、デジタル部とクリエイターのチームであれど、基本的にはチームの管理はそのチームに所属するメンバーが担うので、クリエイター側で主導できる体制を作っています。もしもリーダーの手が回らない部分が出てきたら、そこをプロデューサーが支援する、という体制です。
――一般的なアニメスタジオでは、タイムキープやマネジメントは「制作進行」の仕事として完全にフローが分かれていますが、FLAT STUDIOでは、クリエイター自身に作品全体のスケジュールや進捗状況を俯瞰するマネジメント能力を求める場面も多いということですね。
石井龍:そうですね。創作への向き合い方を象徴する言葉として、「ONE IS ALL」という会社の理念を掲げています。一が全、という意味で、僕らのビジョンとしては「360度型の創作集団」としてスタジオを運営していきたいんです。

石井龍:ことアニメーション領域で言えば、キャリアを考えた時に個人の技術向上という縦軸の成長だけでキャリア設計をするとどこかで必ず頭打ちになる。一つの道を極めるような縦軸に特化したメンバーが活きる道を担保しながらも、キャリアの途上でチームを持ち、マネジメントやプロデュース的な動きをする横軸の成長も必要になる。その人自身の気質に合わせて複数の成長軸を持つことを心がけています。
横軸で言えば、自分が所属するチーム(部署)をマネジメントできるようになると、他チームのことも見られるようになり、より視野が広がって複数チーム(部門)を管理できるようになる。それをマネジメントと呼ぶのか、プロデュースと呼ぶのかについてはこだわっていませんが、個人単位でも、チーム単位でも、プロデューサーとクリエイター問わず、メンバー一人ひとりが責任を持って仕事の管理運営を行うことで、独立した組織を自分たちで運営しているというマインドが生まれてきますし、それが結果的に成長に繋がると考えています。FLAT STUDIOは、そうした将来的な成長性を育む組織体制を志しています。




